◎ 一定の事由等による
 債務免除益課税の緩和

 (企業再生円滑化税制)



企業の再生を円滑にする為、債務免除等を受けた場合の課税が緩和されました



◎ 民事再生法等の場合など
一定の事実が生じた場合、会社再建の為 債務免除益が残らないような手当てが講じられました
(中小企業再生支援協議会の支援のもとで策定した再生計画に基づき債務免除を受けた場合も)




◆ 法律の規定等による手続き開始決定後に、債務免除益 や 私財提供益が生じた場合


@ 当期の所得金額から青色欠損金を控除する
A 控除しきれない場合には、その残額のうち債務免除等の合計額に相当する額から
  期限切れ欠損金を控除する


● 評価損益がない場合 ●

次の (イ) (ロ) (ハ) の金額のうち、最も低い金額が、
青色欠損金等とは別枠で損金の額に算入されます
(法法59A)


  (イ) 債務免除等による利益の合計額 [ (@) + (A) ]
      (@) 債務免除を受けた金額
      (A) 役員等から私財提供等を受けた金額

   (ロ) 期限切れ欠損金を控除する前の所得金額
      別表4 「36(差引計)@」− 別表7(1) 「2(当期控除額)の計」

  (ハ) 期限切れ欠損金
     別表5(1) 「D(翌期首額)31(差引合計額)」−別表7(1) 「2(当期控除額)の計」




◆ 一定の事由等で資産の評価損益の計上を行う場合 及び 受けた債務免除等


◎ 一定の事由等で資産の評価損益の計上を行う場合、
評価損を債務免除益と相殺する他、繰越控除期間の切れた欠損金を優先控除できます
(法法 59条)



● 評価損益の計上を行う一定の事由 (法令117) ● 債務免除等の額








@ 会社更生法 又は 金融機関等(※1)の更正手続
 の特例等に関する法律の規定による更正手続
 開始の決定等
  • 一定の債権を有する
    者からその債権につき
    債務の免除
    を受けた場
    合のその免除された
    金額


  • 法人の役員等から
    銭その他の資産の贈与

    を受けた場合のその
    金銭 及び 資産の価額
  • A 民事再生法の規定による再生手続開始の決定
    B 会社法の規定による特別精算開始命令があった
     こと
    C 破産法の規定による破産手続開始の決定
    私的
    整理
    D 再生計画認可等に準ずる一定の事実 (※2)

    (※1) 金融機関等の範囲に、信用保証協会が追加されました

    (※2) 再建計画等が多数の債権者によって協議のうえ決められる等、その決定について
      恣意性がなく、かつ、その内容に合理性があると認められる資産の整理があったこと
    (親会社が子会社等に対して有する債権を免除するというようなものはだめ)

    一定の私的整理の要件 (→ 緩和)
    (1) 一般に公表された債務処理の準則に従って、再生計画が策定されていること
    (2) 適正な資産査定が行われ、その評定に基づく実態B/Sが作成されていること
    (3) (2) で作成した実態B/Sに基づき債務免除額が決定されていること
    (4) 2以上の金融機関等による債権放棄が行われていること

    尚、(1)〜(3) については、第三者機関等の認証を得ているものに限られます



    ● 平成18年 税制改正

  • 平成18年税制改正により、DESに伴って生じた債務消滅益は、
    期限切れ欠損金の損金算入制度の対象とすることができるようになりました

    債務免除等があった
    場合の欠損金の
    損金算入制度
  • 更正手続開始の決定等があった場合における対象となる事由に、自己に対する債権の現物出資を受けたこと等に伴い、その債権に係る債務の消滅益が計上される場合が追加された

  • 増加資本金等の額 ・・・・ 払込み金銭の額 及び 給付資産の価額 (時価)
        ⇒ DESにより受け入れた債権の取得価額も上記による
    期限切れ欠損金の損金算入の対象額にDESに伴う債務消滅益を追加



    ◆ 具体的な内容は? (評価損益の計上 と 欠損金の繰越控除)


    ● 対象となる債務者 (法人) には次のような手当てが講じられます
    (1)
  • その有する資産の評価損 及び 評価益の計上を行う

      → 評価益と評価損を通算し、通常 評価益より評価損が大きく損金が残る

      → 債務免除益からこの損金の額が差し引かれる (評価損の額を控除)
  • (2)
  • 青色欠損金以外の期限切れ欠損金の優先控除

     この制度の要件に適合している場合→青色欠損金以外の欠損金を優先して控除可

    【債務免除益の控除(相殺)順序】

    @ 純評価損 → A 期限切れ欠損金 → B 青色欠損金

  • (注) 棚卸資産 と 固定資産<評価損> については、
    再生等手続開始の決定があった段階で計上が認められます (法基通9-1-5. 9-1-16)が、
    <評価益> の計上については、再生等計画認可の決定後に行うものに限られます




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    債務免除益は原則として、益金に算入されることになっています。そうすると、税の面から会社再建が難しくなるので、一定の条件を満たせば、この債務免除益と評価損を相殺する他、期限切れ欠損金を控除することで、結果的に益金が残らないような手当てが講じられました。



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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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